節水の取り組み
サントリーでは、いろいろな飲みものをつくっています。飲みものをつくるのに、一番たくさん必要な原料は、水です。水は、製品の原料としてだけでなく、できたものを冷やしたり、工場の機械を洗ったり、つくる工程にも使います。サントリーでは、大切な水を守るために、工場や会社のオフィスで水を無だにしないよう、原料以外の水で水の再使用のいろいろな取り組みをおこなっています。どのような取り組みか、見てみましょう。
1. ビール工場での取り組み
まず、たくさんの水が必要となるビール工場で、水を大切にするためにどのような取り組みが進められているか、見てみましょう。
京都府長岡京市にあるサントリー京都ビール工場では、工場で使う水を回収して、きれいにしてから再使用しています。例えば、缶や機械を洗うために使った仕上げのすすぎ水を集め、機械を冷すための水として、再使用したり、麦のかすをろ過するのに使った布を洗う水として、再使用したりしています。
この技術は「ピンチテクノロジー」と言って、もともとは熱エネルギーを再利用する際に使われていた技術ですが、サントリーではそれを水に応用して、節水に取り組んでいます。また、建物の屋根に降った雨水を集め、ろ過してきれいにした水をやはり機械を冷すための水として使用しています。その結果、京都ビール工場では、1本の製品をつくるために使う水の量を約40パーセント近く減らすことに成功しました。使い終わった水も、国の基準よりも厳しい管理のもと、工場内のはい水処理場で処理を行っています。こうした取り組みが認められ、京都ビール工場は2008年(平成20年)度「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」(主催:リデュース・リユース・リサイクル推進協議会)において、最高位である内閣総理大臣賞を受賞しました。
またこうしたひとつの工程で出た水をきれいにして他の工程で使用する節水の取り組みは、ほかのビール工場でも行われています。東京都府中市の武蔵野ビール工場や、群馬県の利根川ビール工場、また清涼飲料とビール・発泡酒をつくる飲料業界ではじめてのハイブリッド工場、熊本県の九州熊本工場でも同じようにさまざまな節水の取り組みが行われており、利根川ビール工場では、水質や温度が一定で使いやすいことから、工場で使った水をきれいにしてかえすときに、その水を近くの田んぼで農業用水として利用してもらっています。
利根川ビール工場の使った水をきれいにするし設
2. 清涼飲料工場での取り組み
清涼飲料の工場でもさまざまな取り組みを行っています。新しくできた工場は、すべて始めから水の再使用を考えて、つくられています。例えば、使われた水を温度別に分けて集め、それぞれの温度を生かして、工場の中をじゅんかんさせ、再使用します。このシステムは、節水できるだけでなく、それぞれの水の熱エネルギーを有効に使うことができるので、省エネルギーにも役立っています。こうした、水質によって水を管理し、再使用する仕組みをサントリーでは、「水のカスケード利用」と呼んでいます。
2007年(平成19年)4月にできた神奈川県のサントリー神奈川綾瀬工場では、"人と自然とひびきあう都市型工場"を目標に、環境に関するさまざまな取り組みを行っています。ここでも、水質によって水を集め再使用する工程を工場建設の時から組み込み、清涼飲料をつくる工場としては国内でも最も使う水の少ない工場のひとつとなっています。飲み物になる水は新しい「純水※」を使っていますが、それ以外の水は、じょう化し再利用を行なっています。これによって工場での水の使用量をこれまでの半分以下に減らすことができました。
※純水とは・・・不純物を取りのぞいたきれいな水
それ以外の二酸化炭素さく減の取り組みもふくめ、2009年(平成21年)に、神奈川綾瀬工場は「食品産業CO2さく減大賞」の最高賞である農林水産大臣賞を受賞しました。
3. 天然水工場での取り組み
2008年(平成20年)にできたサントリーの一番新しい工場、サントリー天然水奥大山ブナの森工場は、環境や地域と調和する「自然共生型工場」として、水質のい持や地下水の保全などについて、厳しい基準を設けて管理しています。
くみ上げた天然水を製品として利用する以外に、ボトル洗じょうなどの用とにも使用しています。水資源を有効活用するために、洗じょうした水は利用後に回収し、リサイクルすることで、貴重な水資源を節約しています。
工場から出るはい水は、環境にえいきょうのない水質であることを確認したうえで放流し、周辺の自然環境の保全に細心の注意をはらっています。
また、雨水をふくめたすべての放流水は、24時間自動かん視されていて、万が一異常を感知した場合には、きん急しゃ断弁が自動的に閉まり、放流をストップするシステムになっています。
中国地方有数のごう雪地帯に位置することから、冬に1メートル〜3メートル積もった雪を雪室に保管し、必要なときに約7度の冷きゃく水をつくることに利用しています。自然エネルギーである雪でつくったこの冷きゃく水は、生産設備での冷きゃくなどに用いられ、二酸化炭素はい出量のさく減にこうけんしています。
天然水奥大山ブナの森工場は、最新の環境保護技術を導入した周辺の自然環境と一体となったエコ工場として、2008年(平成20年)度の「日経ものづくり大賞」を受賞しました。
また2010年(平成22年)4月にできたサントリーの一番新しい工場、サントリー天然水白州工場は、最新の省エネ技術を導入し、これまでの工場に比べて節水だけでなく、様々な環境への取り組みを進めています。これまで、天然水2Lペットボトルを作るのに、中味の水の3倍から、3.5倍の水を容器であるペットボトルや機械を洗うために使っていましたが、この新しい白州工場では、ビール工場などと同じように水質を5段階に分けて、再使用することにより、使う水の量を3分の1近くまで減らすことができました。
工場の中の食堂や手洗いの水もその再使用の水を使い、くみ上げた天然水をすべて使用する、という取り組みを進めています。また、水を温めたりするための熱エネルギーや、ペットボトルの原料に空気をふきこんで形をつくる時の空気の圧力エネルギーの再使用、また日照量日本一の北杜市の立地を活かした飲料業界で最大の太陽光パネルによる太陽光発電など、水だけでなく多くのエネルギーを活用することで、環境にやさしい「環境はいりょ型工場」としての取り組みを進めています。この取り組みにより、二酸化炭素のはい出量を従来の工場に比べ、24%さく減することを目指しています。
4. オフィスでの取り組み
東京都のお台場にあるサントリーのオフィスでは、環境を考えたいろいろな工夫がおこなわれています。
サントリーワールドヘッドクォーターズ
- 雨水を集めて、きれいにし、植木の水やりに使います。
- トイレで使う水は、一度処理された後の「中水※」を使います。
- トイレは、たくさん水を使わない、節水型のものを使います。
※中水とは… 一度使った水を処理したもので、川に流せるくらいにはきれいだけれど、飲み水にはできないような水のこと。
他にも、エネルギーを節約する取り組みもしています。
- 太陽光パネルで電気をためます。
- ライトは、センサーつきのものにして、人が来たときだけつくようにします。
このような取り組みで、省エネルギー型のビルとして、高い評価を受けています。
サントリーでは、水を大切にするために、いろいろな取り組みをしているんだね!