サントリー次世代環境教育「水育 (R)」

「水」について楽しく学ぼう!

水の危機きき環境かんきょう危機きき

「地球温暖化おんだんか」という言葉を聞いたことがありますか?世界的せかいてきに気温が高くなっていることです。「地ばんちん下」という言葉はどうでしょう。土地がどんどんひくくしずんでいくことです。地球上で問題になっているこれらの現象げんしょうは、どちらも水の問題が大きな要因よういんとなっています。地球温暖化おんだんかは海面を上しょうさせたり、雨のり方などにもえいきょうをもたらしています。また、地ばんちん下は地下水の減少げんしょうが大きな原因げんいんの一つとなっています。水の危機きき環境かんきょう危機ききとがつながっている、これらの問題について、学んでいきましょう。

1. 温暖化おんだんかによる海面の上しょう

気候変動きこうへんどうかんする政府間せいふかんパネル(IPCC(アイピーシーシー))の第4次報告書ほうこくしょによれば、過去かこ100年で地球の平均へいきん温度は0.74度上がっています。過去かこ50年間の気温の上しょうは、過去かこ1300年とくらべて急激きゅうげきであり、異常いじょうであった可能性かのうせいが高いと考えられています。さらにやく100年後(2100年)には、地球の平均へいきん気温が1.1度〜6.4度ほど上がると予想されています。

このような地球温暖化おんだんかで気温が上がると、南極なんきょく北極ほっきょくの氷、その他の地域ちいき氷河ひょうがや氷原、そして永久えいきゅうとう(ロシアやカナダなどにある、夏にもとけることがないこおった土)がとけてしまうと予測よそくされています。そして、氷河ひょうがや雪原などがとけたり、海水の温度が上がって海水の体積たいせきが大きくなったりすることで、海面が上しょうするといわれています。

温暖化(おんだんか)と海面上しょう
温暖化おんだんかと海面上しょう

また、1961年(昭和36年)〜2005年(平成へいせい17年)まで(20世紀せいき)の間にやく8センチメートル海面が上しょうしました。このままでは、21世紀せいき中に1980年(昭和55年)〜1999年(平成へいせい11年)とくらべて18センチメートルから59センチメートル上しょうすると予測よそくされています。

降水量こうすりょうは、1900 年(明治めいじ33年)〜2005 年(平成へいせい17年)にかけて、南北アメリカの東部、ヨーロッパ北部、アジア北部と中部でかなりえた一方、サヘル地域ちいき地中海地域ちゅうかいちいき、アフリカ南部や南アジアの一部ではりました。 1970 年代以降いこう世界的せかいていきかんばつのえいきょうを受ける地域ちいきが広がった可能性かのうせいが高いと報告ほうこくされています。今後、大雨のひん度は増加ぞうかする可能性かのうせいが高いといわれています。今世紀こんせいき半ばまでに、世界の河川流量かせんりゅういきは高い度地域ちいきおよびいくつかの熱帯ねったいしつじゅん地域ちいきにおいてえ、中い度地域ちいき熱帯ねったいのいくつかのかんそう地域ちいきにおいてると予想されています。地中海周辺しゅうへん、アメリカ西部、アフリカ南部、ブラジル、北東部などの半かんそう地域ちいきでは、気候変化きこうへんかによって水資源みずしげん減少げんしょうに苦しむと予想されています。

すでに、フィジー諸島共和国しょとうきょうわこく、ツバル、マーシャル諸島共和国しょとうきょうわこくなど多くの島国で、高潮たかしおによるひがいが大きくなり、しおちると海水が住宅じゅうたくや道路に入りこんでいます。さらに、海水が田畑や地下水に入りこみ、作物が育たない、飲み水が塩水しおみずとなるなど、生活に大きなえいきょうが出ています。

日本では、環境省かんきょうしょうの発表で、40センチメートル海面が上しょうすると、おきに出ているやく120メートル分のがたが消え、65センチメートル上しょうすると、日本全国のすなはまのやく80パーセント以上いじょうがなくなってしまうと予測よそくされています。

2. 地下水の減少げんしょうによる地ばんちん下

人びとが使用できるたん水は、ほとんどが地下水です。人口増加ぞうかや生活の発展はってんにより必要ひつような水のりょうえ、動力ポンプなど技術ぎじゅつの進歩によって、地下水を多量たりょうにくみ上げるようになりました。その結果けっか、地下水のりょうってしまっています。

地下水のりょうり、地下水位すいいが下がると、地面がしずみこみ、地ばんちん下を起こします。世界の人口増加ぞうかにともなって、世界の国ぐにでは食りょうをどんどん生産せいさんしなくてはならず、そのためにこれまでより大量たいりょうの農業用水が必要ひつようになりました。また、工業の発展はってんにより、たくさんの工業用水も必要ひつようになりました。世界のあちこちで起きている地ばんちん下は、農業用水や工業用水のために地下水をくみ上げすぎたことが、主な原因げんいんになっています。

たとえば、メキシコでは1年にやく100万人の割合わりあいで人口が増加ぞうかしています。メキシコシティの水不足ぶそくは有名で、この100年の間に都心の地ばんがやく7.5メートルも下がっています。

現在げんざい、日本では法律ほうりつ条例じょうれいによって、地下水のくみ上げを規制きせいしたり、河川水かせんすい利用りようえていったりする、地下水保全対策ほぜんたいさくがおこなわれています。この結果けっか、近年では一時期のようなはげしい地ばんちん下は起きていません。しかし、水不足ぶそくのときなどに地下水を急激きゅうげきにくみ上げると、大きな地ばんちん下を発生させることがあり、国土交通省こくどこうつうしょうでは今でも、「地下水くみ上げと地ばんちん下の問題は解決かいけつした、ということはできない」としています。その一方で、地下水のくみ上げをやめたことで、地下水位が回復かいふくし、東京とうきょう駅などの地下構造物ちかこうぞうぶつがうかんでしまうといった問題も起きています。適切てきせつりょうだけ地下水を使用することが重要じゅうようです。

地球温暖化おんだんかの問題が、海面上しょうをひき起こしたり、地下水をくみ上げすぎて地ばんちん下が起きてしまったりと、地球の環境かんきょう問題と水の問題は、深いかかわりがあるんだね。

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