処理場の仕組み
洗たくでよごれた水、シャンプーでかみを洗って流した水、台所に流したみそしるの残り。これらのはい水は処理場を通ってきれいになってから川や海へ流れていきます。下水処理場ではどのような仕組みで下水をきれいにしているのでしょうか。下水道の役割についても見ていきましょう。
1. 生まれ変わる下水・処理場の仕組み
下水がきれいになるまで
処理場では、どのような仕組みで下水をきれいにしているのでしょうか。下水処理場の一例を見てみましょう。
1) よごれのつぶをしずませる・ちん砂池
下水を池にためて、その中でゆっくりかきまわしながら、大きなごみや砂やどろがしずむのを待ちます。
2) 細かいよごれをしずめる・ちんでん池
広い池にゆっくり下水を流して、細かいよごれも底にしずませます。
3) び生物の力でよごれを分解・反応そう
び生物の入ったどろ(活性おでい)を下水に混ぜ、空気を送りながらかき混ぜます。び生物がよごれを食べたり、体にくっつけたりして、6時間〜8時間くらいかけて下水をきれいにしていきます。
4) 反応そうのどろをしずめる・第2ちんでん池
3)でできたどろを、この池でしずめます。どろがしずんだ後の水だけを、次の場所に送ります。どろの一部は反応そうに戻し、残りはおでい処理し設へ運ばれます。
5) 消毒するところ・塩素せっしょくそう
4)の水を塩素などで消毒して、川や海へ流します。
6)さらに高度な処理
下水をもっときれいにするために、さらに高度な処理を行う場合もあります。たとえば、薬によってよごれを集めてしずめたり、砂やまくに水を通すことで細かいにごりやよごれを取り除いたり、空気があるそうとないそうに住むび生物のはたらきによってよごれを取り除いたり、オゾンやし外線、活性炭などを使う方法などがあります。
それぞれの池でたまったどろは、おでい処理し設へ運ばれます。水分を取り除いて、約20分の1の大きさにし、燃やして灰にするのです。その灰は、うめたり、レンガや建物の材料としてリサイクルされたりしています。
2. 下水道の役割
下水道の役割は、下水を処理場まで運んできれいにするだけではありません。他にも、次のような役割を果たしています。
<ア. 清潔な生活ができるようにする>
下水道が整うことにより初めて、水洗トイレが使えるようになりました。よごれた水が町の中を通ることもなくなりました。伝染病の予防にもなります。
<イ. 町を水から守る>
雨をすばやく集めて流すので、雨が降っても簡単には家や町が水につからないようになりました。
<ウ. 通信ケーブルなどの工事をしやすくする>
通信ケーブルやガス管なども、下水道管のみぞにいっしょにうめられています。町のすみずみまで通っている下水道管を使えば、光ファイバーなどもすみずみまで通すことができます。
<エ. 再生水として使う>
処理場で高度に処理された水は、いろいろな使い道で再利用することができます。たとえば、都市化によって水量の少なくなった川に流してせせらぎを復活させたり、トイレ用水として使ったり、都市の気温が上がらないように路面に散水したり、雪をとかすために使ったりしています。海外では、下水処理水を地下に流してからくみ上げて農業用水に使ったり、下水処理水をさらにじょう化して飲み水に使ったりする例も増えています。
<オ. どろを再利用する>
処理場で発生するどろには肥料にすることができます。また、燃やすことでレンガなどに使うこともできます。
わたしたち一人一人が流す下水の量は少しでも、町中みんなの下水を集めるとものすごい量になるんだね。台所や洗面所のはい水口は、結局海までつながっているんだ。だから、使った後の水があまり海や川をよごさないように、洗ざいの使い方や、食べ残しの捨て方に気をつけなくちゃ!