砂ばくと人びとの知え
砂ばくで生活の水を手に入れるために、人びとは地下水路をつくりました。砂ばくで暮らす人びとは、少ない水を大切に使うため、昔からいろいろな知えを働かせてきました。水を守り、水を手に入れるために、砂ばくの人びとがどのような工夫をしているのか、見てみましょう。
1. 砂ばくで水を手に入れる知え
水が少ない砂ばくで、人びとはどのようにして水を手に入れてきたのでしょうか。昔からの方法と、新しい方法の2つを見てみましょう。
<ア. 地下水路・カナート>
砂ばくで暮らす人びとが、水を手に入れるために昔から使っていた方法に、地下水路があります。
砂ばくの国では古くからつくられ、3000年たった今でも使われている水路もあります。
この地下水路は、どのような仕組みになっているのでしょうか。
カナートの仕組み
1) 初めに、地下に水がたまっているところまで、深いい戸をほる
2) そのい戸の底から、横に地下水をひくトンネルをつくる
3) トンネルをどんどんのばす
4) そのトンネルの上に、い戸をほる
5) そのい戸から水をくみあげる
地下水路のトンネルをほるのは、とても大変な作業です。中国の西たんに位置するトルファンという町では、地下の土がとてもかたく、大人が数人かかってほっても、1日に1メートルほどしかほることができません。町中に地下水路をつくるには大変な時間と力が必要なのです。
また、い戸の部分から中に落ちた砂や土を、1年に数回ほりだして、外に出さなければなりません。トンネルもくずれやすいので、たびたび修理しなければなりません。地下水路は、砂ばくの暮らしになくてはならないものですが、それを守っていくには、大変な時間と力が必要になります。
<イ. たん水化して水をつくる>
砂ばくの中の大きな都市では、新しい技術を使って、水をつくりだすようになりました。海の水から塩分をぬいて、真水にする方法です。これを「海水たん水化」といいます。
サウジアラビアなど、海が近い国には大きなたん水化の工場があります。
塩分をふくむ水から塩分をぬくには、いろいろなやり方があります。
A. 蒸発させる
水をふっとうさせて、その水蒸気を集めて、水とします。
海水のような塩分のこい水からも、真水をつくることができます。海水たん水化はいっぱんにエネルギーをたくさん必要とするじょう水方法ですが、その中でも特にこの方法は大量のエネルギーを必要とします。
B. 特別なまくで、塩分をろ過する
水は通すが塩分は通さない、特別なまくに、圧力をかけた海水などを通してろ過します。
蒸発させる方法よりもエネルギーがかからない点でメリットがあります。しかし、まくがつまらないように、初めに海水からび生物を取り除いておいたり、たびたびまくをきれいにしなくてはなりません。
たん水化の工場で使われる機械やまくには、日本でつくられたものが多くふきゅうしています。
2. 進む砂ばく化
国連環境計画によると、毎年、九州と四国を合わせたくらいの面積(約6万平方キロメートル)が砂ばく化しています。砂ばく化は、気候変動(干ばつなど)や人間活動を含むさまざまな要因によって引き起こされると考えらています。
砂ばくで暮らす人達は、昔からの知えや工夫を生活に生かして、今も水をとても大切にしているんだ。いろいろな苦労をしているからこそ、水の大切さをよく知っているんだね。わたしたちも、水を大切にすることを見習わなくちゃいけないね!
【参考文献】
・太田猛彦/編『水の辞典』朝倉書店