水がよごれている
今、地球全体で問題になっている水の問題は、水不足の他に、もう1つあります。それは、水質お染です。貴重な水がよごれてしまい、生活に利用できなくなっていくのです。世界の人口は増え続けていて、水の使用量が増えると同時に、生活はい水、工業はい水、農業はい水などでよごされる水も増えています。水はどのようにお染されているのでしょうか。どうしたら水をきれいなまま守ることができるのでしょうか。
1. どうして水がよごれているの?
水質お染が特に問題になってきたのは、18世紀にイギリスで産業革命が起こり、工業化、都市化が進んでからのことです。今では、世界のあちこちの川や湖や海で、水のお染が進んでしまいました。
水のお染は、工業はい水、生活はい水、農業はい水などが湖しょうや川や地下水、あるいは海へ流れこむことによって起こります。かく実験が原因で放射性物質により水がお染された例もあります。自動車や工場から出たはい気ガスが雨水で流されて水をお染することもあります。
中でも特に工業はい水や生活はい水、農業はい水が水質にあたえるえいきょうは大きく、中国や東南アジア、インドなどの川や湖しょうでは、急激な工業化、都市化、食りょう増産にともなう工業はい水、生活はい水、農業はい水の増加によって、魚もすめないような水になってしまったりしています。
2. 水がよごれるとどうなるの?
川や湖や海の水は、少しくらいのよごれはきれいにする力があります。自然の力は大きく、ある程度のお染は放っておいてもきれいにされ、水の質は保たれていたのです。しかし、ここ100年の人口増加と急激な工業化は、自然のじょう化能力をこえてしまいました。その結果、水のお染が広がり、人間をふくむ生き物の健康をおびやかすようになってしまいました。
今、世界ではおよそ7人に1人が、安全な水を飲めないようになっています。また、水質お染が原因の伝染病による死者は、1年に1000万人にも達しています。
世界の人口の増加を止めることは簡単ではありません。増えていく工業はい水や生活はい水をそのまま流すのではなく、川や海の水をよごさないような処理を強化していく必要があります。
3. しっ地が水をきれいにする
しっ地には、水をきれいにする力があることがわかっています。
例えば、しっ地の1つである干がたは、ちっ素とリンに関しては1,000ヘクタールの広さで、10万人分規模の下水処理場に相当するじょう化能力を持つと言われています。
水をきれいにするしっ地
干がたにはシジミ、アサリなどの二枚貝が多くすんでいます。二枚貝は、干がたをろ過する役割をしています。また、干がたのび生物は水質お染の原因になる有機物を分解しています。ヨシ、マコモ、パピルス、イグサ、ガマ、ホテイアオイ、クレソンなど水辺の植物は、水中のちっ素やリンを減らし、水質お染を防いでいます。このようなしっ地が減ると、水がよごれたままで、海に注がれていくことになります。
しっ地には国境をまたぐものも少なくないため、しっ地を守っていくためには、国際的な取り組みが必要になります。そのため1971年(昭和46年)、イランのラムサールで18か国が参加して開かれた「しっ地および水鳥の保全のための国際会議」で、「特に水鳥の生息地として国際的に重要なしっ地に関する条約(ラムサール条約)」が決められました。
地球の水は足りなくなっているだけじゃなく、どんどんよごれてきている。工業はい水、生活はい水、農業はい水が原因になっているんだよ。水をよごさないような工夫や、しっ地など水をきれいにする環境を守っていくことが必要なんだね。