水をめぐる戦争
世界には、水が豊富で自由に使える国と、水が足りなくて困っている国とがあります。水不足になやむ国では、生活に必要な水をどうやって手に入れるか、ということが深刻な問題になっています。川がいくつかの国にまたがって流れている場合、その水をできるだけたくさん使いたい国ぐにの間で、戦争が起こることもあります。
1. 国際河川ってなんだろう
日本は海に囲まれた島国なので、流れている川は全て「日本の川」です。しかし、外国では、いくつかの国にまたがって流れている川があります。これが国際河川です。
現在、世界には260近い国際河川があります。
例えば、アフリカ大陸を流れるナイル川は、とても大きな国際河川です。ナイル川は、エジプト、スーダン、エチオピア、エリトリア、ウガンダ、ケニア、ルワンダ、タンザニア、ブルンジ、コンゴの10か国をまたがって流れています。そして、その流域面積は約300万平方キロメートル(日本の総面積の約8倍)で、流域に暮らす人びとは、約1億6000万人もいます。このように、ナイル川は、複数の国の人びとにとって大切な、生活に欠かせない川なのです。
国際河川をめぐる争い
2. 水をめぐる争い
水をめぐって、なぜ争いが起こるのでしょうか。
日本には国際河川がないので、想像しにくいかもしれませんが、1本の川が何か国にもわたって流れていたら、どうでしょうか。自分の国に、たくさん水がもたらされれば、暮らしが豊かになります。けれど、水をもたらしてくれる川は、複数の国の人びとといっしょに、分け合わなければなりません。
国と国との間で、おたがいが水をたくさん確保しようとして、実際に争いが起こっている地域もあります。
そして、その争いは、地球の砂ばく化や人口の増加による水不足が進むことで、これからどんどん増えていくだろうと予想されています。そのような争いを起こさないためには、国際河川の流域の国が協定を結び、水の利用や管理などについて、いっしょに考えていくことが必要です。
水は、人びとの暮らしを豊かにしてくれる。だからこそ、みんなで分け合って使っていく努力が必要なんだね。