飲みものや料理と水の関係
水以外の飲みものにも水は多く使われますし、料理にも「洗う」「ゆでる」「冷やす」など、水は欠かせません。とうふやそば、ご飯などのおいしさを決める理由として、「水がよいから」「水がおいしいから」といったことがあげられるのは、水を多く使う食品では、水の味や状態が、食べ物の味に大きく関わるからです。おいしい飲みものや、おいしい料理のためには、どういう水を使うとよいのでしょうか。
1. 飲みものをおいしくする水
まずは、そのまま飲んでもおいしい水であることが一番です。日本の水道水は、必ず殺きんすることが決められていて、水道水の消毒に使う塩素のにおいがすることがあります。そんなときには、じょう水器を使ったり、一度わかしたりすれば、カルキのにおいや味がなくなります。
ペットボトルの水の多くは、カルキを使った殺きんはされないので、カルキのにおいはなく、口当たりのよいおいしい水が選ばれています。ミネラルウォーターと呼ばれるものには、日本の水よりミネラル分が多い、ヨーロッパなどの水もあります。これらの水を飲むことで、体に必要なミネラルを取りこむこともできます。
カルシウムとマグネシウムの量が少ない水のことを、こう度が低い水(軟水)と呼びます。日本の水はほとんどが、軟水です。軟水は、お茶を入れるのに向いていて、緑茶や紅茶の味やかおりを十分ひき出すことができます。
2. 料理をおいしくする水
料理に使う水も、まずはそのまま飲んでもおいしい水であることが第一です。特に、ご飯やそばやうどんなど、水をたっぷりふくませるような食べ物は、おいしい水を使うことが大切です。
料理と水
人は、昔から、水の特ちょうを生かしながら、水に合った料理方法を考えてきました。軟水は、かつおのだしをさっととったり、お茶をおいしく出したり、野菜をさっとゆででおひたしにしたりすることが得意な水です。軟水がほとんどである日本では、その特ちょうを生かして和食をつくってきたのです。
沖縄の一部の地域や、ヨーロッパに多い硬水は、肉をコトコト長い時間にてやわらかくするにこみ料理に向いていて、それが沖縄のブタ肉料理(らふてー)や、ヨーロッパのシチューやスープに生かされているのです。
おいしい水を使うと、おいしい飲みものや料理ができるんだね。水の種類によって、合う飲みものや料理がちがうこともわかったよ。
【参考文献】
・早川光/著 『ミネラルウォーターガイドブック』 新潮社
・井上正子/監修 『ミネラルウォーターブック』 新星出版社
・河野友美/編 『新・食品辞典11 水・飲料』 真珠書院
・谷腰欣司/著 『トコトンやさしい水の本』 日刊工業新聞社
・酒文化研究所/編 『マザーウォーター』 紀伊国屋書店
・高野健次/著 『紅茶のおいしいたて方』 新星出版社
・栃倉辰六郎 他/監 『発酵ハンドブック』 共立出版
・水ハンドブック編集委員会/編 『水ハンドブック』 丸善