不思議な水の話
世界には、なかなか治らない病気が治るという「不思議な水」「きせきの水」の話があります。病気になやむ多くの人びとが、わずかな希望を「きせきの水」のうわさにたくして、水を飲みに行こう、水を手に入れようとしています。「きせき」が科学的に確かめられるものではなくても、その水に、「希望」を感じている人もいます。
1. 不思議な言い伝えのある世界の水
聖母のおつげでわき出たきせきの泉
<ア. ルルドの泉(フランス)>
フランスのルルドという町にある泉には、少女ベルナデッタが聖母マリアからおつげを受けた場所をほったところ、水がわき出たという伝説があり、その水は、けがや病気を治す力がある「きせきの水」といわれています。
今では年間約500万人ものカトリック信者が、ルルドの泉を訪れます。そのため、泉がかれてしまわないように、豊かにわき出る泉は見学のみ、というルールで、観光客やじゅん礼者達は、泉から引いたじゃ口で水をくむことになっています。ルルドの町には、水を入れるポリタンクやマリア像を売る土産物屋が並んでいます。
<イ. トラコテの水(メキシコ)>
メキシコのトラコテという小さな村の、ある牧場のい戸からわき出す水が、さまざまな病気を治す「不思議な力を持つ水」として、海外からも数多くの人びとを集めています。
伝説の始まりは、い戸の持ち主が、たおれてぐったりしているイヌにこのい戸の水を飲ませたらとつ然歩きだした、という出来事でした。それ以来、うわさを聞いた人がこの水を飲み、病気が治った、軽くなったという話が続いたのです。
<ウ. ノルデナウの水(ドイツ)>
ドイツのノルデナウという町にあるどうくつで、大変きれいな水をたたえた泉が発見されました。ここの場所には昔ホテルがあったのですが、そのホテルにとまった人びとや近所の人びとから「このわき水を飲むと病気がよくなる」といううわさがだんだんと広まりました。そして、きせきの水、いやしの水として語られ、実際にこの水を飲んだら病気が治ったという話も相次ぎました。きせきを求めて、今では1日に何百人という人びとが、このどうくつを訪れています。
2. 温泉の水を飲む
日本には温泉が多く、温泉によっていろいろな効果があるとされています。温泉に入るだけでなく、「飲泉」といって温泉の湯を飲むことでまた別の効果があるとされるものもあります。
「きせきの水」とはちがい、「飲泉」は、飲む量や回数、飲んではいけない人などが細かく決められ、温泉を飲むことの効果が科学的に明らかにされているものが多くあります。
温泉を飲む
なかなか治らない病気が水を飲んで治った、という話が、世界のあちこちにあるんだね。その効果が本当かどうかはわからなくても、病気になやみながら、水に希望をたくしている人達がいるんだ。
【参考文献】
・『財界にっぽん』 2005年8月号