サントリーの水の研究
飲みものをつくるために、大切な材料は“水”です。サントリーでは、よりおいしく、より健康的な飲みものをつくるために、水についてくわしく研究しています。中心になっているのは「水科学研究所」です。どのような仕事をしているのか、見てみましょう。
1. おいしい水を探し求めて
サントリーでは、おいしい製品をつくるために、水のよい土地を探し求め工場を建てています。例えば、「サントリー天然水(阿蘇)」やビールをつくっている九州熊本工場は、おいしい水が育まれる熊本県の阿蘇山のふもとにあります。また、大阪府にある山崎蒸溜所ではウイスキーをつくっていますが、ここは、名水「離宮の水」があるところです。他にも、サントリーではいくつかの場所を決めて工場を建て、そこの水を使っています。水科学研究所の大切な仕事の1つに、こうした「水がよい地域を探す」「採水地を決める」という仕事があります。採水地とは、工場でつくる飲みものの材料として、水をくみあげる場所のことです。
よい採水地とは、どのような場所なのでしょうか。
よい採水地の条件
- そこで取れる水の質が、飲みものに向く、よいものであること
- 50年、100年先にも、よい水が取れること
- 水がわいてくる地ばんが、しっかりしていること
- 周りにゴルフ場や工場がないこと
- 周りの環境がよごされていないこと
このようなポイントを、全部満たしている場所を探すのです。
それでは、どのような方法で、この採水地を探すのでしょうか?
1) たくさんの本や研究書を調べて、調査をする
2) 調査の結果をもとに、いくつかの場所を選ぶ
3) その場所をくわしく調べる
- 地面を深くほって、どのような土や岩でできている土地か調べる
- 水を取ってきて分せきする
- 地下を流れる水の量や、流れる速さ、流れるルートについて、調べる
水科学研究所の様子
地下を流れる水は、目で確かめることができません。流れる場所を全部ほるわけにもいきません。たくさんの調査をして、その結果集まった、たくさんの情報を、いろいろな分野の知識や考え方で、分せきして、予測するのです。
水科学研究所では、地面や地球についての学問、いろいろな情報をもとに、化学や物理などの専門家が、よい水の採れる土地を探しているのです。
2. 水についての味の研究・水と体の研究
おいしい飲みものは、暮らしを楽しくしてくれます。おいしい料理も同じです。飲みものにも料理にも、水をたくさん使います。こうして水は、毎日たくさん体の中に入っていきます。そのためサントリーでは、水の味や健康とのつながりについても、研究を進めています。
水科学研究所
<ア. 水と料理の関係の研究や、水の分せき>
例えば…
- 和食に合う水は、どのような水なのか?
- ミネラルウォーターでお米をたくと、栄養や味はどのように変わるだろう?
- ちがう採水地の水の味を、機械で測って数字で表すと、どうなるだろう?
<イ. 体によい水の研究>
例えば…
海洋深層水は、健康のためにどのような効果があるだろう?
海洋深層水について水科学研究所では、大学や他の研究所とも協力して、くわしいデータを集めて研究しています。海洋深層水はカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富にふくまれていることがわかっています。また、体内の中性しぼうを減らすなどといった効能も報告されています。
他にも、サントリーでは水の性質を生かした新しい製品のつくり方も研究しています。
もっと“わくわく!”水コラム 「みんなにも知ってほしい! 水の大切さ」
こうして研究してわかったいろいろな水のことを、たくさんの人達に伝えるのも、水科学研究所の大切な仕事です。「水と健康」「水と生活」「水と環境」「水と科学」など、たくさんのテーマでみなさんにお話しています。
2005年(平成17年)には、国連環境計画(UNEP(ユーエヌイーピー))でおこなわれた「こども環境サミット」にも参加して、ケニア・ジャマイカ・ギリシャ・日本のこどもたちに英語で授業をおこないました。
「水の全てを勉強しよう!」と思ったら、体、料理、理科、健康、環境、自然、地球など、あらゆることを勉強するんだね。水は、とても身近なものだけど、まだわからないことがたくさんあるし、いろいろな分野で研究が進めば、もっともっとおいしい飲みものや水ができるかもしれないね!