川の水を調べてみよう

わたしたちが暮（く）らしで使う水は、主に川から引いています。また、使ったあとの水も、処理（しょり）されてから再（ふたた）び川へもどります。わたしたちに一番身近な水の道が、川です。川の水は、その町の環境（かんきょう）を示（しめ）す大切なものさしの1つです。パックテストや、どのような生き物が川にすんでいるかで、川の水を調べてみましょう。

川の水を調べに行くときは、次のことに注意してください。

　川は、雨の後などに急に水が増（ふ）えて、流れが激（はげ）しくなることがあります。雨が降（ふ）った後や、降（ふ）りそうなときは、川に行くのはやめましょう。
　川へ行くときは、必（かなら）ず大人の人といっしょに行くようにし、こどもだけで単独行動（たんどくこうどう）はしないようにしましょう。
　川の土手はすべりやすいので気をつけましょう。
　中州（川の真ん中にできた島）に注意しましょう（川の水かさが増すと中州は川に飲みこまれ、中州にいる人は流されてしまうおそれがあります。川の水かさは上流で雨が降（ふ）ったり、ダムの放水などですぐに増（ふ）えます）。
　マムシや毒虫（どくむし）に注意しましょう。
　川の水はたとえきれいでも飲まないようにしましょう。（川の水には目に見えない細（さい）きんがたくさんいます）
　素足（すあし）で川に入らないようにしましょう。（川の底（そこ）にはとがった石があります）

1．　まずは下調べから

くわしく調べてみる前に、まず川の様子を観察（かんさつ）してみましょう。目や鼻を使って、どのようなものが見えたか、においはあったかなどを観察（かんさつ）し、記録（きろく）しておきましょう。

水のにごりを見たり、においをかいだりしてみましょう！

目で見るポイントは次の通りです。

　川底（かわぞこ）は見えますか？
　ごみはありますか？　あわだっているところはないでしょうか？
　部分的（ぶぶんてき）に色が変（か）わっているところは？
　他の水路から、よごれた水が入ってきていませんか？
　川岸はコンクリート？　土？　川原？　植物は生えていますか？
　川底（かわぞこ）は石？　どろ？　砂（すな）？　コンクリートのかけらなどは見つかりますか？
　川の周（まわ）りに生き物の姿（すがた）はありますか？　それはどのような生き物ですか？

鼻で感じるポイントは次の通りです。　

　どぶのようないやなにおいはありますか？
　別（べつ）のにおいを、なにか感じますか？
にんにくのようなにおい・メロンのようなにおい
藻（も）のにおい
土のにおい・かびのにおい
魚のにおい
薬のようなにおい
金属（きんぞく）っぽいにおい
なにかくさったようなにおい

気温の低（ひく）いときはにおいを感じにくいので、水を持って帰って40度くらいに温めてかいでみると、よくわかるようになります。

調べてウォッチング！

おおよそでかまわないので、川の大きさなどをはかって記録（きろく）しておきましょう。

雨の後などには、急に水が増（ふ）えて流れが激（はげ）しくなることもあります。川の流れがおだやかな日を選（えら）び、必（かなら）ず大人の人といっしょに行きましょう。

　川のはば
橋がある場合は歩いてはかります。自分の1歩がどのくらいか測（はか）っておき、橋をわたるのに何歩歩いたかを数えて、計算しましょう。橋がない場合は、目でよく見て、予想をつけます。
　流れる速さ
3メートル〜5メートルくらいのひもか糸にうきをつけて、足もとの流れに落とします。それが流れてぴんとのびるまでの秒数を計り、計算します。川の真ん中やはしなど異（こと）なる地点の速さを測（はか）ってみましょう。
　水温
水温計ではかりましょう。流れに直接（ちょくせつ）ひたしてもいいし、水を入れ物にとって、1分ほど待ってからはかってもよいです。

2．　パックテストで調べよう！

パックテストを使えば、専門（せんもん）の人でなくても、川や水道の水についていろいろ調べることができます。季節（きせつ）ごとにはかってみれば、冬と夏でどのように結果（けっか）がちがうか、知ることができます。また、同じ川でも、近くに工場や家があるところ、家の少ないところなど、場所によって結果（けっか）はどのように変化（へんか）するでしょうか。調べてみて、表やグラフにしてみましょう。

パックテストの様子

パックテストとは、いったいどのようなものを使って、どのようにするテストなのでしょうか？

パックテストのキット（COD（シーオーディー）用）

とう明チューブの中には、水の中の成分（せいぶん）に反応（はんのう）する薬が少しだけ入っています。この中に水を入れると、薬が反応（はんのう）して水の色が変（か）わります。その色を目安にして、水を調べるのです。

pH（ピーエイチ）や、よごれを表す目安になるCOD（シーオーディー）、しょう酸性（さんせい）ちっ素（そ）、あしょう酸性（さんせい）ちっ素（そ）などをはかることができます。

準備（じゅんび）するもの

水をくむ道具（バケツ、かん、ひしゃくなど）・とった水を入れておくもの（ふたつきのガラスびんなど）・紙コップ・温度計・記録（きろく）用紙

パックテストをやってみよう！

　1）　チューブについている糸を引きぬき、その穴（あな）からチューブの中の空気をしっかり出します。

　2）　スポイトと同じようにして、穴（あな）からチューブの中にサンプルの水を吸（す）いこませましょう。

　3）　チューブをふって中の薬をとかし、その色を表と比（くら）べてみましょう。

※手は、水道水か、はかる場所の水でよく洗（あら）っておくこと。手になにかついていると、誤差（ごさ）が出ます。

※色が出るまでの時間は、水温によってちがうものもあります。水温はできるだけきちんとはかってテストしたほうが、正確（せいかく）です。

実際（じっさい）に、長野（ながの）県の山を流れる梓（あずさ）川と、千葉（ちば）県の住宅地（じゅうたくち）を流れる前原（まえはら）川で、パックテストをやってみました。

梓（あずさ）川の様子

前原（まえはら）川の様子

リトマス試験紙（しけんし）でpH（ピーエイチ）をはかる

＜梓（あずさ）川での結果（けっか）＞

COD（シーオーディー）　0　、あしょう酸性（さんせい）ちっ素（そ）　0ミリグラム　 pH（ピーエイチ）6.5〜7くらい

＜前原（まえはら）川での結果（けっか）＞

COD（シーオーディー） 13　、あしょう酸性（さんせい）ちっ素（そ）0.3ミリグラム pH（ピーエイチ）8.5

テスト結果（けっか）
COD（シーオーディー）とあしょう酸（さん）性窒素の結果（けっか）が出た

場所によって水質（すいしつ）がちがうことがわかります。COD検査（けんさ）の数値（すうち）が高いと、それだけ川の水がよごれていることになります。

3．　川にすむ生き物で調べよう！

川や池、ぬまの中にはいろいろな生き物達（たち）がすんでいます。フナ、ドジョウ、メダカなどの魚、サワガニ、ヌマエビなどのエビやカニの仲間（なかま）、ゲンゴロウなどのこん虫、カエルなども見つかるでしょう。

水の中で暮（く）らす生き物は、水中にふくまれる酸素（さんそ）の量（りょう）と深く関係（かんけい）があります。酸素（さんそ）がたっぷりないと生きられない生き物もいるし、それほど酸素（さんそ）がなくても暮（く）らせる生き物もいます。またその川にいる生き物を調べれば、その川がどのくらいよごれているのか、おおよそわかります。環境省（かんきょうしょう）では、そのような生き物を「指標（しひょう）生物」として何種類（しゅるい）か選（えら）び、川の水質調査（すいしつちょうさ）をするときの目安にしています。