自然の中の水 海と川
地球にある水には、海水、川の水、湖や池の水、地下水、雨水などがあります。どの水もちがう場所にありますが、蒸発したり、降ったり、流れたりして、ぐるぐる回りながら1つにつながっています。まずは海水と川の水について、調べてみましょう。
1. 命のゆりかご・海
海
海水の中には、地球の生き物や岩石など、ありとあらゆるものをつくる材料になるものが、たくさんとけこんでいるといわれています。いろいろな物質をつくる、一番おおもとの材料になるものを「元素」といいますが、海水には80種類もの元素がとけこんでいます。海水中にある元素の主なものは、次のようになっています。
海水中にある主な成分
水素、酸素、塩素、ナトリウム、マグネシウム、い黄、ちっ素、カルシウム、カリウム
人間の体にある主な成分
水素、酸素、炭素、ちっ素、ナトリウム、カルシウム、リン、い黄、カリウム、塩素、マグネシウム
人間をつくっている成分と、海の水の元素はとてもよく似ていますね。
このため、生き物が海から生まれて進化してきたのではないかと考えられています。
海は地球の約3分の2をおおうほど広いのですが、世界中どこの海でも、この成分はほぼ同じです。過去38億年間、海水の成分はほとんど変わっていないといわれています。
しかし、海には、川からたくさんの物質が流れこんでいます。空気からもいろいろな成分がとけて入ってきますし、風に運ばれたいろいろなつぶも、海に入ってきます。それなのに、なぜ海の成分はずっと変わらないのでしょうか。
実は、海の中では、海の中にすむ生き物達の活動や、成分どうしの化学反応によって、いろいろな物質がつくられ続けています。このとき、外から入ってくる成分は、海水の中でほとんど使われてしまうのです。他にも、海底火山の熱い水との反応で、いろいろな物質が海の中でできています。海は、海に入ってきた成分を材料にいろいろな物質をつくる、化学工場のような役割を果たしているのです。
2. 地球の材料を運ぶ・川の水
川は、陸から海へいろいろなものを運ぶ、運び屋の役割をしています。
川
川の水にふくまれるもの
- 土や岩石の小さなつぶ
大きめのつぶは、流れがゆるやかになると、少しずつ底にしずみます。海まで運ばれて、海底に積もるものもあります。
- 土や岩石、土の中のすき間にある空気からとけ出る主な成分
ケイ素 い黄 カルシウム ナトリウム 塩素 マグネシウム カリウム 二酸化炭素
これらが海に入ると、海の中でいろいろな物質ができる材料になります。
- 人間の活動から出た、よごれの物質
人間が出した生活はい水や家ちくのにょう、び生物など。干がたや浅い海にいる生き物達によって、少しずつ取り除かれます。
1) アサリなどの貝が、水を吸いこむ
2) アサリは、えらで水をこしわけ、プランクトンやその他の有機物を食べる
3) こされてきれいになった水を、外に出す
4) 少しずつ水がきれいになる
干がたや浅い海の生き物は、このようにして川の水のよごれを取り除いています。
川や海には、いろいろなものを運んだり、物質をつくったり、水をきれいにしたりする自然の力があるんだね、地下水や雨水についても次のページを見てみよう。「種類」の中の「自然の中の水 地下水と雨」 を読んでみてね。→
【参考文献】
・北野康/著 『新版水の科学』 日本放送出版協会
・小倉紀雄・一國雅己/共著 『環境化学』 裳華房
・J.Eアンドリューズ P.ブリンゴリム T.D.ジッケルズ P.S.リス B.J.リード/著 渡辺正/訳 『地球環境化学入門』 シュプリンガー・フェアラーク東京
・有田正光/編著 池田裕一・中井正則・中村由行・道奥孝治・村上和男/著 『水圏の環境』 東京電気大学出版局
・角皆静男・乗木新一郎/著 西村雅吉/編著 『海洋化学』 産業図書株式会社
・柳哲雄/著 『海の科学 第2版』 恒星社厚生閣
・W.S.ブロッカー/著 新妻信明/訳 『海洋科学入門』東京大学出版