地球をめぐる水の旅
空にもたくさんの水があります。海や川、陸から蒸発した水蒸気です。空の水蒸気が集まると雲ができて、そこから雨が降ってきます。雨水は川や地下に入り、やがて海に出ます。地球をめぐる水について考えてみましょう。
1. 地球にはどれだけ水があるの?
地球上にある水は、約14億立方キロメートル。それを場所別に分けてみると、次のようになります。
海……約97.5パーセント
たん水……約2.5パーセント
約2.5パーセントをさらに分けてみると、下のようになります。
- 氷河、氷山……約1.75パーセント
- 深層地下水(とても深いところにあるもの)……約0.73パーセント
- 川、湖、ぬま、浅層地下水……合わせて約0.01パーセントから0.02パーセント →わたしたちが使うことができる水
地球の水のほとんどは海です。残りの大部分は氷河や氷山として、閉じこめられています。わたしたちが使うことができる水は、地球の水のほんの少しの部分だけです。
つまり、わたしたちが利用できる水は、非常に限られているとも考えられます。
2. 地球をめぐる水の旅
水の旅を海から順番に見てみましょう。
水の旅
<ア. 海から蒸発する>
海からは、いつもたくさんの水が水蒸気になって空へ上っています。他に、川、湖、ぬま、陸地からも水が蒸発し、また、森や林の樹木の葉からも水が蒸散※しています。
※蒸散とは・・・ 植物内の水分が、葉などから水蒸気として出されること。
<イ. 雲ができる>
水蒸気がどんどん上ると、上空の冷たい空気にあたって冷やされます。すると、空気の中をただよっていた小さなほこりのつぶの周りに集まって、小さな小さなしずくになります。これが雲のつぶです。雲のつぶがたくさん集まると、雲になります。雲のつぶはとても小さく、高い空の上には上しょう気流(上向きの風)がふいているため、空にうかんでいられるのです。
<ウ. 雨になって降る>
雲のつぶは、周りのつぶとくっつきながら、だんだん大きくなります。大きくなると重くなって、下に落ち始めます。これが雨です。
<エ. 雪になって降る>
雲の場所の温度がとても低いと、雲のつぶは氷になってういています。こおった雲のつぶがくっつきあって大きくなり、重くなって落ち始めます。そのとき、下の空の温度も低いと、氷のままとけずに落ちていきます。これが雪です。
<オ. 土を通って地下へ、やがて川へ>
山や大地に降った雨は、土の中にしみこんでいきます。土の下には、砂や岩のかけらでできた層があり、その下にはもっと大きな岩石でできた層があります。
しみこんだ雨は、水をよく通す砂の層の中にたっぷりとたまって、ゆっくり移動します。大きな岩のすき間や割れ目を通って、もっと下まで移動する水もあります。
地面の中には、いろいろな深さに水があり、どの水もゆっくり移動しています。これを地下水といいます。
浅いところを動いていた地下水は、わき水になって出てきたり、い戸水としてくみ上げられたりします。地下水はやがて川や湖に入り、最後には海へ帰るのです。
3. 水はどのくらいの時間で、めぐっているの?
地球全体に、1年間に降る雨の量は、約505兆立方メートル。
空にただよっていた水蒸気は大体10日くらいで雨になります。地上に降った雨は、ゆっくり土にしみこんで地下水になります。
地下水は、地層のすき間や岩石の割れ目を流れていくので、地下水の進む速さは、その地層や岩石の性質によってちがいます。数か月でわき出すものもあるし、数百年かかるものもあります。地下数百メートルより深いところを流れる地下水は、それよりももっと長い時間をかけて、ゆっくりと流れていきます。
水は、いろいろな場所で、いろいろな速さでぐるぐる回っているんだね。新せんで安心して使える水があるのも、水がいつでも地球をめぐりながら生まれ変わっているからなんだ。
【参考文献】
・平澤猛男/著 『水は永遠の友』 研成社
・小倉義光/著 『一般気象学』 東京大学出版
・左巻健男/著 『水と空気の100不思議』 東京書籍
・石原信次/著 『知っておきたい水のすべて』 インデックスコミュニケーションズ
・中川鶴太郎/著 『氷・水・水蒸気』 岩波書店
・北野康/著 『新版 水の科学』 日本放送協会
・榧根勇/著 『地下水の世界』 日本放送協会
・水みち研究会/著 『井戸と水みち』 北斗出版
・和達清夫/監 『最新気象の事典』 東京堂出版