水の種類
みなさんの身の回りには、たくさんの飲みものや、しょう油やすなどの液体の調味料があります。水に果じゅうなどがとけたもの(清涼飲料水)、水にアルコールがとけたもの(酒)、水に塩分や、大豆を発こうさせてできた成分がとけたもの(しょう油)など、これらはみんな水よう液なのです。
1. 酸性・中性・アルカリ性
水よう液は、中にとけているものによって性質が変化します。水よう液の性質は、酸性、中性、アルカリ性の3種類に分類されます。学校の理科の実験で、リトマス紙を使って色を比べたことはありませんか? リトマス紙は、その液体が酸性かアルカリ性かを調べるために使います。
この性質を決めるのがpH(ピーエイチ)という指標です。その単位が、pH(ピーエイチ)という単位です。身近な水よう液をpH(ピーエイチ)というものさしで見てみましょう。
pH(ピーエイチ)は数字が小さいと強い酸性で、数字が7に近づくにつれて、酸性の性質は弱くなり、7で中性になります。7を過ぎて数字が大きくなるにつれてアルカリ性の性質が強くなります。
身近なもののpH(ピーエイチ)をあげてみましょう。
酸性・中性・アルカリ性
- す pH(ピーエイチ) 2〜3 酸性
- 水道水 pH(ピーエイチ) 5.8〜8.6 弱酸性〜弱アルカリ性
- 人間の体液 pH(ピーエイチ) 7.4 弱アルカリ性
- 人間の胃液 pH(ピーエイチ) 1.2〜2.5 酸性
- せっけん水 pH(ピーエイチ) 7〜10 アルカリ性
2. やわらかい水とかたい水!?
「水にかたいとか、やわらかいとかってあるの?」と、不思議に思う人もいるでしょう。水のかたい、やわらかいは、手でさわってわかる感じをいうのではありません。水にふくまれている成分の量を表す言い方なのです。
水にふくまれるカルシウムとマグネシウムが少ない水を「やわらかい水(軟水)」といい、多い水を「かたい水(硬水)」といいます。それを「こう度」という数値で表します。いくつ以下が軟水で、いくつ以上が硬水かについては、いろいろな考え方がありますが、サントリーでは1つの目安として、次のように分けています。
- こう度0〜100 軟水
- こう度101〜300 中硬水
- こう度301以上 硬水
水の中にとけているミネラル成分は、主に山や大地をつくっている岩石の成分です。岩石の成分が、どうして水の中に入るのでしょうか。
1) 山や大地に降った雨が地面にしみこむ
2) 土から、砂と岩の層、さらにその下の大きな岩の層まで、ゆっくりしみこむ
3) しみこむとちゅうで、岩の成分を少しずつとかしながら進む
4) 水の中に岩石の成分が少しずつ入る
5) 長い時間をかけてミネラル成分がとけこみ、ミネラルウォーターとしてくみ上げられる
カルシウムやマグネシウムは岩石の成分ですが、わたしたち人間の体にも必要な大切な成分です。
日本の水のこう度はおよそ20〜60の間に入り、軟水と呼ばれるものがほとんどです。ヨーロッパなどの大陸でとれた水はこう度301以上の硬水がほとんどです。
日本で軟水が多いのは、次のような理由があります。
- 山と海が近く、けいしゃが急な地形です。大陸の水に比べると、岩石とふれる時間が短いので、成分の少ない軟水になります。
- 火山の活動によってできた場所が多く、地層の多くは主に火成岩でできています。そして多くの火成岩の主成分はケイ酸と呼ばれる物質で、カルシウムやマグネシウムをあまり多くふみません。そのため、こう度の低い軟水になるのです。
反対にヨーロッパなどの大陸で硬水が多いのは、次のような理由です。
- 山と海が遠くはなれていて、ゆるやかな地形をゆっくり水が移動します。それだけ岩石とふれる時間が長いので、成分をたっぷりとかしこんで、硬水になるのです。
- ヨーロッパには、大昔海にあった貝がらや魚の骨がたくさんふくまれた地層(石灰岩層)が広く分布しています。貝がらや骨にはミネラルがたくさんふくまれているので、地層もミネラル分が多くなるのです。
軟水・硬水と地形の関わり ※ミネラルは、水にとけているので実際は見えません。
水にもいろいろな種類があるんだね。水の中にとけている成分は、その水がどのような土地を通ってきたかを教えてくれるものなんだ!
【参考文献】
・都田昌之/監修 日本産業洗浄協議会/編 『初歩から学ぶ機能水』 工業調査会
・久保田昌治・野原一子/著 『わかりやすい浄水・整水・活水の基礎知識』 オーム社
・谷腰欣司/著 『トコトンやさしい水の本』 日刊工業新聞
・J.Eアンドリューズ P.ブリンゴリム T.D.ジッケルズ P.S.リス B.J.リード/著 渡辺正/訳 『地球環境化学入門』 シュプリンガー・フェアラーク東京
・榧根勇/著 『地下水の世界』 日本放送協会出版