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氷の世界と人びとの暮（く）らし

氷に閉（と）ざされた厳（きび）しい自然（しぜん）の中にも、暮（く）らし続（つづ）ける人達（たち）がいます。氷の世界で暮（く）らす人びとの知えや工夫（くふう）、氷河（ひょうが）と人間の関（かか）わりについて、見てみましょう。

氷の国の人びとの暮（く）らし

氷の世界で暮（く）らす人達（たち）は、何を食べ、どのように氷や水と関（かか）わっているのでしょうか。暮（く）らしぶりをのぞいてみましょう。

＜ア．　北極（ほっきょく）けんを旅して暮（く）らす、イヌイット族＞

北極（ほっきょく）けんで4000年以上（いじょう）も暮（く）らしているのが、イヌイットなどの先住民（せんじゅうみん）族です。カナダの北部、アラスカ、デンマークやロシアなどに住んでいます。

カリブー（トナカイ）を飼（か）い、カリブーのえさになるコケ類（るい）を求（もと）めて、移動（いどう）しながら暮（く）らしています。また、沿岸（えんがん）部ではアザラシ、セイウチ、クジラやサケ、マス、ニシンなどをとり、それを食べています。1年を通して最高（さいこう）気温が0度を下回る期間が長く、水は雪や氷をとかしてつくることもあります。

イヌイット族の暮（く）らし

＜イ．　氷河（ひょうが）と火山の国、アイスランドの人びと＞

アイスランドは、国の約（やく）12パーセントが氷河（ひょうが）におおわれています。また、活発に活動している火山もあり、そのため温泉（おんせん）もあります。暖（あたた）かい海流が近くを流れているため、それにのってくる魚がたくさんとれます。氷河（ひょうが）の水がとけ出してできた地下水が、この国の人達（たち）の飲み水などの生活用水になります。とても清潔（せいけつ）で、おいしいことで有名です。火山が氷河（ひょうが）の底（そこ）でふん火すると、一度にたくさんの氷がとけ、湖があふれ出し、大きなこう水になります。

＜ウ．　世界が注目！　夢（ゆめ）の大陸（たいりく）・南極（なんきょく）＞

南極（なんきょく）には世界中の国の観測（かんそく）基地（きち）があります。日本（にほん）の基地（きち）もあります。チリの基地（きち）には学校や病院、ホテルもあり、一番多い時で約（やく）150人が暮（く）らしています。南極（なんきょく）の地下には豊（ゆた）かな資源（しげん）があると考えられているため、世界のいろいろな国が南極（なんきょく）に注目しているのです。一方で、使わなくなった基地（きち）が増（ふ）えたり、人が増（ふ）えたりした結果（けっか）、ごみの問題が出てきています。

もっと“わくわく！”水コラム　「い大な氷河（ひょうが）の力〜ナイアガラのたきをつくった氷河（ひょうが）〜」

氷河（ひょうが）の上に、ある高さまで雪と氷が積（つ）みあがると、氷は自分の重みで低（ひく）いところに向かってすべり始めます。それが氷河（ひょうが）の始まりです。氷河（ひょうが）は1日に数センチメートルから数メートルという、ゆっくりしたスピードで動きながら、その重みと圧力（あつりょく）で、周（まわ）りの岩や大地を強い力でけずりとっていきます。氷河（ひょうが）がけずりとった後は、がけの切り立った深い谷になります。アメリカとカナダの国境（こっきょう）にあるナイアガラのたきは、その大きさと水の量（りょう）の豊（ゆた）かさで有名です。このきょ大なたきも、氷河（ひょうが）の力によってつくられた地形にできたものです。

ナイアガラのたきの中で一番大きな「カナダたき」は、はばは約（やく）670メートル、高さは約（やく）54メートルあります。流れ落ちる水の量（りょう）は1秒に最大（さいだい）約（やく）5,700立方メートルほどで、東京（とうきょう）ドームをおよそ2分でいっぱいにする量（りょう）です。

氷の世界で暮（く）らしていくために、いろいろな知えや工夫（くふう）があるんだね。それは、長い歴史（れきし）の中で自然（しぜん）からいろいろなことを学び、自然（しぜん）といっしょに生きてきたことの証（あか）しでもあるんだ。わたしたちも同じように、自然（しぜん）といっしょに生きていく気持ちを忘（わす）れないようにしていきたいな。