植物と水の関（かか）わり

植物への水やりは、だれもがやったことがあるでしょう。夏の暑い日、地面がからからにかわいて、花がしおれてしまったのを見たことがある人もいるでしょう。植物にとって、水はどのくらい大切なものなのでしょうか。

1．　植物の中の水

植物の体は、例（たと）えば高等植物の葉などはその約（やく）80パーセント〜90パーセント、ほとんどが水でできています。その水が少しでも減（へ）ってしまうと、植物はしおれ、かれてしまいます。

2．　植物はどこから水をとっているの？

植物は、地中の水分を、根から吸（す）いあげます。根が吸（す）い上げた水は、植物の体をうるおしながら、木の幹（みき）や草花のくきの中の管（くだ）（＝道管（どうかん））を通って、上へ、葉の方へと上っていきます。葉に届（とど）いた水は、葉脈（ようみゃく）を通って葉もうるおし、葉で蒸発（じょうはつ）します（蒸散（じょうさん）といいます）。

植物の体と水

また、葉では、光合成（こうごうせい）がおこなわれ、水はそれにも使われます。植物は太陽などの光のエネルギーを使って、二酸化炭素（にさんかたんそ）と水から、酸素（さんそ）と炭水化物（糖（とう）やデンプンなど）をつくります。炭水化物は植物の栄養（えいよう）のもととなり、木の幹（みき）や草花のくきの中の管（くだ）（＝師管（しかん））を通って、今度は上から下へ、根の方へと下っていきます。そうして、栄養（えいよう）は植物の体にゆきわたり、最後（さいご）は根まで届（とど）くのです。管（くだ）の中で栄養（えいよう）は水にとけており、水が栄養（えいよう）を運ぶ役目をしています。

このように、水は植物の体をうるおし、栄養（えいよう）をあたえながら、植物の体をぐるぐるとめぐっているのです。

3．　種（たね）は水がいらないの？

草花や木は水がないとかれてしまいますが、種（たね）は水がないところに置（お）いておいても、かれるわけではありません。種（たね）にはどうして水がいらないのでしょうか。

種（たね）が芽（め）を出すためには

植物の体がたくさんの水をふくんでいるのに比（くら）べ、多くの種（たね）の中の水分量（すいぶんりょう）は約（やく）5パーセント〜20パーセントと、とても少なくなっています。種（たね）は、光合成（こうごうせい）をおこなわず、生長することもないので、水を必要（ひつよう）としないからです。動物の冬みんのように、ねむっているようなものなのです。

ところが、種（たね）が芽（め）を出すためには、水が欠（か）かせません。種（たね）は水を吸（す）うと、温度などの他の条件（じょうけん）がそろえば、ねむりから覚（さ）め、芽（め）を出し、生長を始めるのです。

4．　かんそう地帯（ちたい）の植物はどうしているの？

砂（さ）ばくなど、かんそう地帯（ちたい）でも植物は生きています。雨がほとんど降（ふ）らないかわいた土地で、水がなければ生きられないはずの植物は、いったいどうしているのでしょう。

　根を長くのばし、地下水まで届（とど）かせて水を吸（す）い上げます。
　サボテンは、くきを大きくして中に水分をたくわえます。昼には気こうを閉（と）じ、夜に開いて光合成（こうごうせい）に必要（ひつよう）な二酸化炭素（にさんかたんそ）を吸（す）い体内にたくわえることで、葉からの水分の蒸発（じょうはつ）を防（ふせ）いでいます。
　雨期とかん期がある熱帯（ねったい）では、かん期（雨の少ない季節（きせつ））を種（たね）で過（す）ごす植物がいます。雨期（雨の多い季節（きせつ））の間に、芽（め）を出し実を結（むす）んで、短い一生を終え、また種（たね）になってかん期を乗り切ります。また、かん期に落葉させて蒸散（じょうさん）を防（ふせ）ぐ植物もいます。